「パン作りのレシピに出てくる“ベンチタイム”って本当に必要なの?」
そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。一次発酵後に生地を分割し、ガスを抜いたあとに行うこの工程。省略してもパンは焼けますが、仕上がりや成形のしやすさに大きな違いが出ます。
この記事では、パン作りにおけるベンチタイムの役割と、なぜ必要なのかという理由を分かりやすく解説します。これからパン作りを始める方や、ベンチタイムの意味を改めて確認したい方におすすめです。
ベンチタイムとは?パン作りに欠かせない“休ませる工程”
ベンチタイムとは、一次発酵が終わった生地を分割し、ガス抜きをした後に一定時間休ませる工程のことです。
名前の由来は「ベンチ(長椅子)に座って休む」というイメージから来ています。
ベンチタイムの時間の目安は
- インスタントドライイーストを使う場合:10~15分程度
- 天然酵母を使う場合:20~30分程度
レシピや気温によって多少前後しますが、おおむねこのくらいの時間を取ることが一般的です。
ベンチタイムの役割|なぜ生地を休ませる必要があるのか
一次発酵が終わって膨らんだ生地は中にガスがたまっているので、それをパンチで抜きます(ガス抜き)。
そうすることで新しい空気を取り入れ発酵を促すのですが、この時に生地をボールから取り出したり分割します。
そうすると、生地が千切れたり裁断されたりで滑らかだった表面に傷がつきます。
その傷ついた表面を隠すように丸めて休めておくのがベンチタイムです。丸めて休ませることによって、傷ついた生地を回復させるんですね。
ベンチタイムには他にも、次のような大切な役割があります。
- 生地を休ませる:ガス抜きや分割でハリが出た生地を落ち着かせる
- 生地を伸びやすくする:休ませることでグルテンが緩み、成形がしやすくなる
- 傷ついた断面を回復させる:分割によってダメージを受けた生地を整える
- 成形をスムーズにする:表面が破れにくく、均一な成形が可能になる
ベンチタイムを取ることで、生地の扱いやすさと仕上がりの美しさに大きな差が出ます。
ベンチタイムを省略するとどうなる?ありがちな失敗例
もしベンチタイムを取らずに成形へ進んでしまうと、次のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 生地を伸ばしてもすぐに縮んでしまう
- 表面が切れて見た目が悪くなる
- 成形に余計な力が必要になる
つまり、「どうしても生地が伸びない」「丸めてもすぐ戻る」といった悩みは、ベンチタイム不足が原因になっていることがあるんです。
ベンチタイムは不要?省略できるケースと注意点
結論から言えば、ベンチタイムを完全に省略してもパンは焼けます。
ただし、仕上がりの美しさや成形のしやすさは確実に落ちてしまいます。
例えば、夏場の高温多湿の時期に「生地がダレる前に早く成形して焼きたい」という理由であえてベンチタイムを短縮、あるいは省略する場合もあります。
つまり、ベンチタイムは必須ではありませんが、より美味しく美しいパンを作りたいなら取った方が断然有利ということです。
まとめ:ベンチタイムは不要ではなく、パン作りを助ける大切な工程
ベンチタイムは「ただ休ませるだけ」のように見えますが、実際には
- 成形をしやすくする
- 生地をきれいに仕上げる
- 焼き上がりの見た目や食感を良くする
といった重要な役割を担っています。
確かに省略も可能ですが、初心者ほどベンチタイムをきちんと取ることで作業がスムーズになり、失敗が減ります。
パン作りをもっと楽しむために、ぜひベンチタイムを意識して取り入れてみてください。
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