こんにちは。自宅で天然酵母や発酵食品を日々作りまくっているノムです。
天然酵母パンを作るなら自家製で酵母を起こしてみたい!と思って始めたのが10年以上前。やってみたら意外と簡単で、しかも毎回生き物を相手にしている感じが楽しくて、今では天然酵母パン作りがすっかり日常になりました。
天然酵母はまず酵母を育てるところから始まるため「ちょっと難しそう」と感じる初心者の方も多いかもしれません。
ですが、手順をしっかり押さえれば、酵母液や中種作りも家庭で十分に楽しめます。
本記事では、酵母液の仕込み方から元種(中種)の作り方までの基本を、写真付きでやさしく解説します。
自家製でも成功率を高める温度管理や発酵の見極め方も紹介するので、初めてでも香り豊かな天然酵母パンが焼き上がりますよ。
自家製天然酵母パン作りの全体の流れ(初心者向け)
パン作りが好きな人にとって天然酵母を自分で起こすのは憧れ。でも何から手を付けたらいいのか分からないですよね。
まずは簡単に全体の流れを図解にしてみました。

詳しくは各章で解説するので、全くの初心者さんはこのおおまかな流れを頭に入れておいてください。
※下記では一般的なパンの流れとポイントです。特にパン作りの段階では作るパンによって内容や工程が大きく変わることもあります。
1から始める天然酵母パン作り工程
①酵母液を仕込む(期間:7日前後)
お水にりんごやレーズンなどを入れて発酵させます。
瓶に材料と水を入れて常温発酵。

この酵母液を使ってパン作りや発酵食品を作ることも可能です。
⇒酵母液の活用方法へ(執筆中)
②元種を作る(期間:3日~7日)
完成した酵母液に小麦粉と水を混ぜ、半日〜1日発酵→継ぎ足し、を3回ほど繰り返す。
膨らんだものを、パン作りの酵母源として使う。

ここで酵母液ではなく、ただのお水と小麦粉で種起こしをすることも可能です。
いわゆるサワードウ種と呼ばれるものですが、詳しくはこちら→(執筆中)
③パン作り
②で出来た中種に、パンの材料(小麦粉・水・塩・その他材料)を混ぜて捏ね、パンを焼きます。

パンの種類によって材料や工程は違いますが、大まかには
捏ねる⇒一次発酵⇒ガス抜き⇒成形⇒二次発酵⇒焼く
が基本です。
もっと簡単に天然酵母パンを作るには?
結構な行程がありますよね。まずはパン作りを始める前の、①酵母液を作る~②中種を作る の段階で1~2週間かかるのでやる気が失せてしまうかも知れません。
でも液や種は一度発酵したら後は継ぎ足して使えるので、次回からはすぐにパン作りを始めることができます。
さらに朗報です!実はこの工程をすっ飛ばしても天然酵母パン作りできるんです。
天然酵母は市販のものもあるので、今すぐパンが作りたい!という方は市販のものがから初めていいでしょう。
市販の天然酵母ならホシノ天然酵母が国産で安心、初心者から上級者まで人気のブランドです。
自家製天然酵母① 酵母液の作り方
では、全体の流れが分かったところで一番最初の工程、酵母液から作っていきましょう。
ここで良質な素材を使うことで、仕上がりのパンの香りにも多少なりと影響してくるので、かなり大事な工程とも言えます。
酵母液から作ったら、とっても愛着のあるパンができますよ。
レーズンや果物を使った酵母液の作り方
酵母液を作るのにもっとも簡単で失敗が無いのがレーズンです。
もちろんリンゴやバナナ、生のブドウ、その他の果物や穀物でも酵母液は作れますが、ここでは初心者向けのレーズン酵母の作り方をご紹介します。
用意するもの
- ジャムの空き瓶など密閉できるガラス製容器
- 無農薬レーズン 大匙2
- お水(浄水または飲料水)250㏄ ※一度沸騰させた湯冷ましは発酵しない可能性があるのでおすすめしません。
レーズンはオーガニックで無添加、無糖、オイルコーティングされていないものがいいです。
もしオイルコーティングされているものしかない場合は、使用する前に熱湯に10分ほど付けておいてから使用してください。
レーズン酵母液の工程
1日目
①瓶を煮沸消毒します。
鍋にお水を入れて、ガラス製の瓶と蓋を入れて沸騰させます。
沸騰して2~3分したら瓶を取り出し自然乾燥させます。

雑菌が入ると酵母がうまく発酵しない可能性があるので、しっかり消毒した方がいいですが、
熱湯を瓶に掛けるだけでもいいですし、アルコールでサッと拭くだけでも殆どの場合は大丈夫です。
②瓶にレーズンを入れて、お水は瓶の8分目くらいまで注ぎます。
レーズンの量はそこまで厳密に計らなくていいですが、お水の2割~3割を目安に。

今回はお水250cc、レーズン大匙2で作っています。
③ぴったりと蓋を締めて常温で置きます。
酵母が活性化する最適な温度は25度から28度と言われていますが、真夏や真冬の屋外でもない限りそこまで気にすることはありません。
ただし、温度が高過ぎると発酵しなかったり発酵に時間がかかりますし、暑すぎるとと酵母に酸味が出過ぎることがあります。
なので夏場も冬場も「私たち人間が快適に過ごす部屋」に置くのを目安にするといいです。
2日~3日目
まだレーズンはそこに沈んでいますが水が色を付けてきました。
レーズンが水分を吸ってふやけて、瓶をふるとふわふわと動きます。

1日に1~2回、瓶を開けて瓶を軽く振ってまた閉めます。
早ければ3日目くらいからレーズンの回りに小さい泡が付いてきます。これは発酵が始まっているサイン!
4日~5日目
引き続き1日に2回、瓶のふたを開けて空気を入れ替えます。

水の色が濃くなってきました。
レーズンが水分を含んでブヨブヨとして、瓶の底から上に浮かんできます。
同時に気泡が増えて上の方が白く泡立ってきます。
また、蓋を開けるとプシュッと炭酸が抜けるような音がすると、中でガスが溜まっている証拠。
6日~7日目
レーズンが完全に浮いて、瓶の底には白っぽい濁った液(下り)が溜まっています。
匂いはワインのような、ほんのり酸味のある香りです。

こうなると酵母液は完成なので中のレーズンを取り除いて液体だけにします。
ここからさらに1日冷蔵庫で休ませることで安定した酵母液になります。

この液を使ってパンを作ったり、パウンドケーキやパンケーキに使うこともできます。
フルーツの香りが出て美味しいですよ⇒ストレート法(執筆中)
取り出したレーズンどうする?お菓子やパンに入れていい?
、、、と思ってやってみたんですが殆ど味も香りもせず、ただのぶよぶよの食感がしただけでした。なので個人的にはおすすめしません(笑)
酵母が発酵しない原因は?
酵母液に変化が見られない場合は、次のような原因が考えられます。
①気温が低い(20度以下)
②レーズンが古いまたはオイルコーティングされたまま
③空気の入れ替えがうまくいっていない
④適切なお水ではない
⑤腐っている、菌が死滅している
気温が低い場合は時間を置けば発酵してくる可能性もあるので、温かい場所に移してあげましょう。
また、お砂糖を小匙1杯ほど足してみると発酵が始まる場合があります。
さらに数日置いても全く変化が見られない場合は失敗している可能性が高いので、新しく作った方がいいですね。
腐敗している場合は、いかにも腐った臭いがするので破棄してください。
酵母液の保存方法
酵母液の保存は冷蔵保存できます。
ただ、数日に1度は蓋を開けて空気を入れ替えないと、密閉された状態が長時間続くとガスが溜まり腐敗のもとになります。
酵母液の継ぎ足し
次に酵母液を作る時は、完成した酵母液を少し入れると発酵が早くなります。
自家製天然酵母② 元種の作り方
酵母液ができたら次は中種を起こしていきます。
これは酵母液と小麦粉(強力粉)を混ぜて発酵を促していく工程です。
元種に必要な材料
- 強力粉 50gx3回分
- 酵母液 50gx3回分
- 広口ガラス瓶 500mlサイズが使いやすいです。
- かき混ぜるお箸やスプーン
強力粉の代わりに全粒粉やライ麦粉を使うこともできます。全粒粉やライ麦粉の方が強力粉より発酵しやすい傾向があるので、1回目はそれらを使用すると成功率が上がります。
ただ、私は古い全粒粉で1週間経っても全く発酵しなかったことがあるので、粉は新鮮なほど良いのではないかと思います。
ライ麦粉や全粒粉はもちろん、パン作りに必要な粉からドライフルーツって近所のスーパーではなかなか揃わないですよね。そんなときはネットで一気に揃えてしまいましょう。ポイントもたまるこちらのお店が便利です→ベーカリスタ 楽天市場店
元種の起こし方
①瓶を煮沸消毒します。
前述同様、雑菌が増殖しないようできるだけ清潔な瓶が望ましいです。
②【1回目】強力粉(または全粒粉やライ麦粉)50gと酵母液50gを瓶に入れてお箸やスプーンでよく混ぜます。
しっかり混ざったら軽く蓋をして(上に乗せる程度で大丈夫です)20度~28度くらいの気温の場所で置いておきます。

強力粉ならもっと白くなります。
気温や酵母液の発酵力によりますが、6時間~12時間ほどで倍になります。変化のない場合は24時間まで待ってみて、それでも変化のない場合はそのままかけ継ぎ(継ぎ足し)してみましょう。
※瓶を密閉すると酸素不足で発酵が止まることがあります。
※もし外出などで6時間以上確認できない場合は冷蔵庫に入れておくと発酵が遅くなります。
この時、どれくらい膨らんだか分かりやすいよう、瓶に輪ゴムをしておくと良いです。
今ある生地の上の線に合わせて輪ゴムを留めておきましょう。
酵母が活性化する最適な温度は25度から28度と言われていますが、真夏や真冬の屋外でもない限りそこまで気にすることはありません。
ただし、温度が高過ぎると発酵しなかったり発酵に時間がかかりますし、暑すぎるとと酵母に酸味が出過ぎることがあります。
なので夏場も冬場も「私たち人間が快適に過ごす部屋」に置くのを目安にするといいです。
③生地が2倍ほど膨らんだら、瓶をトントンとテーブルに落として衝撃を与え、中の気泡を抜きます。そうすると元の高さくらいにまで嵩が減るので、一旦冷蔵庫で一晩または半日ほど休ませます。

※冷蔵庫で休ませる工程はなくても大丈夫です。慣れてきたら酵母の様子で臨機応変に対応できるので、今はとりあえず休ませておくと無難です。
【2回目】 冷蔵庫から種を出して30分から1時間ほど酵母が常温になるまで置いてから、強力粉50gと酵母液50gを瓶に足します。同じようにお箸やスプーンでしっかり混ぜます。
混ぜ終わったら輪ゴムを留めて印をし、軽く蓋をしておきます。
④生地が2倍ほど膨らんだらまた中の気泡を抜いて冷蔵庫で半日~1日休ませます。

【3回目】 同じように酵母を冷蔵庫から出したら常温になるまで待って、強力粉50gと酵母液50gを瓶に足し、お箸やスプーンでよくかき混ぜます。
混ぜ終わったら軽く蓋をして輪ゴムを留めておきます。
⑤さらに生地が2倍ほど膨らんだら同じように気泡を抜き、冷蔵庫で保存します。
これで、元種の完成です。パンの酵母としてパンを作ることができます。
この頃には種はかなり粘り強くなっているかと思います。
ドロドロっとしたり腐敗臭がする場合は失敗なので捨てて下さい。
失敗した場合は半分ほど捨てて、小麦粉や酵母液を足していくと復活することもありますが、怪しい場合は私なら潔く捨てます。
「せっかく育てた酵母がー!」って残念な気持ちも分かりますが、その微妙な元種でパンを作って美味しくなかったらもっと勿体無いので。
粉は3回とも強力粉でいいですが、ライ麦粉や全粒粉を使うとまた違った味わいが出ます。
私の経験ではライ麦粉や全粒粉の方が酵母が起きやすいので、興味のある方は試してみて下さい。
ライ麦酵母の起こし方
天然酵母の元種の保存方法は?
冷蔵保存できます。できれば1日に1回、または数日に1回でもいいので中を確認して、かき混ぜてあげると酵母が新鮮な状態で保存できます。
発酵力が弱ってきたな?と思ったら半分ほど捨てて、上記の方法でかけ継ぎしましょう。
常に手をかけてあげることで、新鮮で元気な酵母をキープできます。
天然酵母の元種が失敗する原因は?
この元種起こし、「思ったように膨らまない」「どろどろになってしまった」「酸っぱい匂いが強い」「カビが生えた」など、初心者がつまずきやすいトラブルがよく起こります。
- 元種が膨らまない
- どろどろになる
- 酸っぱくなる
- カビや腐敗
次のページでは代表的な失敗原因を整理し、それぞれの改善の方法を詳しく解説します。
自家製天然酵母の作り方 まとめ
天然酵母パンを作りたいと思っただけなのに、パン作りに辿り着くまでが長く感じますよね。
でもこれらの工程は一度やれば次からは継ぎ足しでいけるので、ここさえ乗り越えれば大丈夫です!
逆に言えばこの段階が自家製天然酵母作りの醍醐味とも言えます。
それでももう心が折れそう、諦めそうなあなたに!
せっかくのやる気を損なわないためにまずは市販の天然酵母を使うとこれまでの段階をすっ飛ばして天然酵母パンを焼くことができます。お手軽な天然酵母の種はこちら!
自家製天然酵母を育てつつ、お手軽天然酵母の種を併用するのもありですね。
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