「天然酵母でパン作りをしてみたいけど、なんだか難しそう…」と感じていませんか?
特に、天然酵母のパンの代表格ともいえるカンパーニュは、その見た目の美しさや独特の香りで憧れのパンの一つ。
街のパン屋さんでずっしりとしたカンパーニュを見かけるたびに、「自分でこんなパンが焼けたら素敵だなぁ」なんて、つい想像してしまいます。
天然酵母のパン作りと聞くと、なんだか専門的な知識や特別な技術が必要な気がして、なかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
実際、インターネットで検索してみると、様々な情報が出てきて、「結局何から始めたらいいの?」と混乱してしまうことも少なくありません。
種起こしから発酵、焼き上げまで、多くの工程があるように見えて、尻込みしてしまう気持ちもよくわかります。
でも、安心してください。天然酵母のカンパーニュ作りは、実は思ったよりずっとシンプルなんです。
天然酵母の「種」さえできてしまえば、あとは基本のレシピに沿って丁寧に作業を進めていくだけ。
パン作りのプロセス自体が、まるで生き物を育てるような、そんなワクワクする体験でもあります。
酵母がプクプクと膨らんでいく様子を見たり、生地に触れたときの感触を楽しんだり、オーブンから漂ってくる香ばしい匂いをかいだり…五感を使って楽しめるのが、手作りパンの醍醐味です。
この記事では、天然酵母パンを作り続けて10年の私ノムが、パン作り初心者の方でも安心して挑戦できる天然酵母カンパーニュの基本のレシピを、写真や動画付きで丁寧に解説していきます。
自家製天然酵母の「種」を作る段階から、材料選び、発酵のコツ、そして焼き上げまで、各工程で失敗しないためのポイントを具体的にご紹介します。特別な道具がなくても始められる方法もご紹介するので、まずは手軽なものから揃えてみましょう。
この記事を最後まで読めば、きっと「私にもできるかも!」と自信が湧いてくるはずです。さあ、一緒に憧れの天然酵母カンパーニュ作りに挑戦してみませんか?
まだ自家製酵母を作っていない方はこちら👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】
自家製天然酵母で作る本格カンパーニュレシピ|初心者でも失敗しないコツ
天然酵母で作るパンは、イースト菌を使うパンにはない独特の風味と、深い味わいが魅力です。
一口食べれば、その芳醇な香りが口いっぱいに広がり、噛めば噛むほどに小麦の旨味を感じられます。
パン屋さんのあの味を自宅で再現できるとしたら、想像するだけで心が躍りますよね。
でも、いざ自分で作ろうとすると、「発酵がうまくいかない」「生地が膨らまない」といった不安が頭をよぎるかもしれません。天然酵母は、イーストに比べて発酵力が穏やかなため、少し時間がかかりますが、その分、生地がゆっくりと熟成され、複雑な香りを生み出すことができます。
この章では、天然酵母パン作りの基本的な考え方と、カンパーニュ作りの成功ポイントを初心者の方にもわかりやすくお伝えします。
天然酵母パン作りの第一歩!カンパーニュの魅力と自家製酵母の基本
天然酵母とは、文字通り「自然界に存在する酵母」のことです。
果物や穀物、花、空気中など、あらゆる場所に生息しています。この酵母を水と砂糖、または穀物などと混ぜて、自家製のパン種(酵母液)を育てることから天然酵母パン作りは始まります。
👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】
パン種を育てることは、まるで生き物を育てるよう。毎日少しずつ表情を変えるパン種に、愛着が湧いてくるはずです。
このパン種を使ってパンを焼くと、イースト菌で作るパンとは一味違う、奥深い味わいと、しっとりとした食感が生まれます。
また、焼成後も水分が失われにくく、時間が経ってもパサつきにくいという特徴も持っています。
カンパーニュは、この天然酵母の特性を最大限に活かせるパンです。
シンプルな材料だからこそ、酵母の個性がダイレクトに反映され、自分だけの特別なパンを焼くことができます。
自家製酵母を育てることは、パン作りの「プロ」になったような気分を味わえる、非常に楽しいプロセスです。
準備はこれだけでOK!材料と道具を揃えよう
天然酵母カンパーニュを作るために、特別な道具や材料をたくさん揃える必要はありません。ご自宅にあるもので十分代用できるものも多いので、まずは手持ちのものをチェックしてみましょう。
【材料】
- 自家製天然酵母液(レーズン酵母など): 最初に仕込む必要があります。
👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】 - 強力粉: 国内産の強力粉は香りが良く、おすすめです。
- ライ麦粉: カンパーニュ特有の風味と、どっしりとした重さを出すために使います。
👉ライ麦粉・全粒粉・強力粉の違い|元種に使うならどれがおすすめ? - 塩: 天然塩を使うと、味に深みが出ます。
- 水: 浄水器を通した水や市販の飲料水を使うと良いでしょう。
【道具】
- ボウル(2個): 材料を混ぜる用と、発酵させる用。
- スケッパー: 生地を分けたり、まとめるのに便利です。
- はかり: 材料を正確に測るために必須です。
- 発酵かご(バヌトン): これを使うとカンパーニュ特有の美しい模様が付きます。ない場合は、ボウルに布巾を敷いて代用可能です。👉ちょうどいいサイズの発酵かごはこちら
- クッキングシート: 焼く際に使います。👉繰り返し使える便利なオーブンシート
- オーブン: 予熱機能と、高温(250度以上)に設定できるものが望ましいです。
これらの基本的な材料と道具を揃えれば、すぐにパン作りを始めることができます。
特に、発酵かごは、パン作りのモチベーションを上げてくれる素敵なアイテム。まずは代用品から始めてみて、パン作りが楽しくなってきたら、お気に入りの道具を少しずつ揃えていくのもいいですね。
【動画・写真解説】天然酵母カンパーニュのレシピと作り方
さあ、いよいよ天然酵母カンパーニュ作りの実践です。ここでは、自家製のレーズン酵母液を使った基本的なレシピをご紹介します。
生地作りから焼き上げまで、各工程のポイントを押さえながら進めていきましょう。
カンパーニュ 材料
- 天然酵母元種 100g
- 強力粉 200g
- ライ麦粉 50g
- 水 184g(78%)
- 塩 6g(2%)
- 蜂蜜 12g(4%)
※かっこ内の( %)はベーカーズパーセント
カンパーニュ 作り方ステップ
ステップ1:生地作り
材料を混ぜる: ボウルに天然酵母の元種、水、蜂蜜を入れて溶かすように混ぜます。

綺麗に混ざったら強力粉、ライ麦粉、蜂蜜を入れ、粉気がなくなる程度に軽く混ぜ合わせます。

オートリーズ:そのまま20分~30分常温に置いて材料馴染ませます。
オートリーズ(Autolyse)とは、粉と水分を混ぜてしばらく休ませる製法のこと。小麦粉に水分を吸収させることでグルテンの生成が促され、生地が伸びやすくなります。
捏ねる: 塩を入れてボールの中または台の上で生地を捏ねます。べたつきが気になるかもしれませんが、捏ねていくうちにまとまってきます。私は捏ね回数60回(「伸ばして戻す」で1回x60回)をカウントしています。

💡カンパーニュやバゲットなどハード系のパンは捏ねずに作ることもできますが、特にライ麦が入った粉の場合は私は最初だけしっかり捏ねます。と言ってもソフト系パンに比べたらかなり少ないですが、ここでしっかり混ぜておかないとムラが出たりダマが消えてなかったりします。
常温で置く:生地を丸くまとめ、ボウルに入れます。濡れ布巾やラップで蓋をして約30分常温で放置。

ストレッチ&ホールド:生地を端から伸ばすように持ち上げて、対角線上に折り畳みます。これを1周したらまた蓋をして約30分常温で放置。
ストレッチ&ホールドを3回繰り返します。徐々にグルテンが形成され、生地の表面が滑らかになてきます。

一次発酵: 3回目のストレッチ&ホールドが終わったら、生地が2〜3倍の大きさになるまで温かい場所で発酵させます。発酵時間は季節や室温によりますが、天然酵母の場合の目安は6〜8時間程度です。
ステップ2:成形
- ガス抜き: 一次発酵が終わった生地を台に出し、優しく押さえてガスを抜きます。
- ベンチタイム: 生地の表面が張るように丸く成形して休ませます。(20分~30分)
- 成形:生地を成形して、粉を振った発酵かご(または布巾を敷いたボウルなど)に入れます。
カンパーニュはこの成形が結構大事なので、しっかり表面が張った状態で発酵カゴに収められるようにします。
- 二次発酵: ラップや袋に入れて二次発酵、1.5〜2倍の大きさになるまで発酵させます。
美味しくなるポイント!私はこの二次発酵の時に冷蔵庫に入れ翌朝までじっくり時間を掛けて発酵させます(オーバーナイト)。これでグンと美味しくなるのでおすすめです。
ステップ3:焼成

- クープを入れる: 二次発酵が終わったら、生地をクッキングシートの上にひっくり返し、クープナイフやカミソリで生地の表面に切り込みを入れます。
このクープが、焼き上がりの表情を決めます。焼く前に表面に霧吹きで水を掛けるとパリッと仕上がります。 - オーブンで焼く: 250度に予熱したオーブン下段に生地を入れ20分、その後220度に温度を下げて更に10分焼きます。
カンパーニュは下からの熱が大事なので、オーブンは天板も一緒にしっかり予熱しましょう。

以上のステップを踏むことで、初心者の方でも失敗を減らすことができます。
特に発酵は、生地の状態を見ながら行うことが大切です。焦らず、生地が教えてくれる「サイン」を感じ取りながら進めてみましょう。
カンパーニュのアレンジレシピ
※かっこ内の( %)はベーカーズパーセント
くるみとイチジクのカンパーニュ
- 天然酵母元種 100g
- 強力粉 200g
- 全粒粉 50g
- 水 184g(78%)
- 塩 6g(2%)
- 砂糖 12g(4%)
- 乾燥いちじく 60g
- くるみ 60g

黒糖レーズンカンパーニュ
- 天然酵母元種 100g
- 強力粉 250g
- 水 184g(78%)
- 塩 6g(2%)
- 黒糖 12g(4%)
- レーズン 80g
失敗しないためのQ&A!天然酵母パン作りのよくある質問
天然酵母パン作りに挑戦する中で、誰もが一度はぶつかるであろう疑問や不安に、Q&A形式でお答えします。
Q1. 生地がうまく膨らみません。どうしたらいいですか?
生地が膨らまない原因として、酵母液の力が弱かったり、発酵場所の温度が低すぎたりすることが考えられます。まず、酵母液が元気かどうかを確認しましょう。蓋を開けたときに「シュワッ」と音がしたり、気泡がたくさん見えたりすればOKです。
次に、発酵させる場所を少し工夫してみましょう。電子レンジの発酵機能を使ったり、オーブンの余熱を利用したり、暖かい部屋に置いたりするのも有効です。
Q2. クープがうまく開きません。
クープがうまく開かない原因は、生地の状態とクープの入れ方にあります。まず、生地が十分に発酵しているか確認しましょう。発酵が足りないと、クープが開きにくくなります。
次に、クープを入れる際は、思い切りよく、角度をつけて深く入れることが大切です。クープナイフやカミソリの刃は、切れ味の良いものを使うと良いでしょう。また、焼成前に霧吹きで生地に水をかけると、よりクープが開きやすくなります。
Q3. 焼成後の保存方法はどうすればいいですか?
焼きあがったカンパーニュは、粗熱がとれたら布巾で包んで保存するのがおすすめです。乾燥を防ぎ、美味しさを保つことができます。
翌日以降に食べる場合は、スライスしてラップに包み、冷凍保存すると便利です。食べるときは、解凍せずに冷凍からそのままトーストすると、焼きたてのような香ばしさが戻ってきます。
FAQ 回答(各300字以内)
天然酵母のパン種(酵母液)はどうやって作ればいいですか?
天然酵母のパン種は、レーズンやリンゴ、いちごなど、身近な果物を使って簡単に作ることができます。清潔な瓶に果物と水、少量の砂糖を入れ、蓋を閉めずに、日の当たらない暖かい場所に置きます。毎日一度、瓶を振って中の空気を入れ替えましょう。数日経つと、シュワシュワと気泡が出始め、甘酸っぱい香りがしてきます。これが酵母が生きている証拠です。気泡が活発になり、果物が浮かび上がってきたら、酵母液の完成です。冷蔵庫で保存し、パン作りに活用しましょう。
パン作りに失敗しないためのコツはありますか?
天然酵母のパン作りで最も重要なのは「発酵」です。発酵が成功するかどうかは、生地の状態と温度に大きく左右されます。生地を触ってみて、べたつかず、弾力がある状態が理想です。また、発酵中の温度を一定に保つことも大切です。温度計を使って生地の温度をこまめにチェックしたり、発酵器やオーブンの発酵機能などを活用したりするのも良いでしょう。酵母は生き物なので、焦らず、生地の変化を観察しながら、じっくりと向き合うことが成功への鍵となります。
天然酵母で作る本格カンパーニュレシピ まとめ
この記事では、天然酵母カンパーニュのレシピと、失敗しないためのポイントを詳しく解説しました。
パン作りは、一見すると難しそうに感じられるかもしれませんが、天然酵母のパン作りは、酵母を育てる楽しさから始まり、生地に触れ、香りを楽しみ、そして焼き立てのパンを味わうまで、五感で楽しむことができる素晴らしい趣味です。
自分だけの特別なパンを焼き、家族や友人と分かち合う喜びは、何物にも代えがたいものです。
まずは、この記事でご紹介した基本的なレシピを参考に、お手持ちの道具で挑戦してみてください。
もし途中でうまくいかなくても大丈夫。酵母の状態や気温、湿度など、毎回条件が違うのが天然酵母パン作りの面白いところです。
何度も挑戦するうちに、きっと自分なりのコツが見つかるはずです。
さあ、あなたも今日から、天然酵母を使った素敵なパン作りライフを始めてみませんか?
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