天然酵母でパネトーネを作るって、なんだかすごく上級者向けに感じられますよね。でもご安心ください。天然酵母パンの魅力は、その独特な風味と食感にあります。
ゆっくりと時間をかけて発酵させることで、小麦本来の甘みが引き出され、奥深い味わいになります。さらに、自家製の天然酵母を育てる過程も、パン作りの楽しみの一つ。まるで小さな命を育てるような、わくわくする体験が待っています。
この記事では、パン作り初心者さんでも安心してチャレンジできる、天然酵母パネトーネのレシピをご紹介します。特別な道具は必要ありません。
自家製の天然酵母の作り方から、生地の発酵のコツ、焼き上げのポイントまで、失敗しないためのヒントをたっぷりお伝えします。
天然酵母パネトーネの最大の魅力は、市販のパンにはない、奥深い風味と、しっとりとした食感です。時間と共に変化していく生地の様子を観察するのも、手作りならではの醍醐味。焼き上がった時の、部屋中に広がる甘く香ばしい香りは、何にも代えがたい喜びです。
さあ、あなたも今日から、天然酵母のパン作りの世界に足を踏み入れてみませんか? このレシピを参考に、あなただけの特別なパネトーネを焼いてみましょう。
天然酵母パネトーネの魅力と作り方
パネトーネはイタリア語でPanettone、「大きなパン」という意味で、イタリアの伝統的なクリスマスのお菓子なのは周知のとおり。本来はパネットーネ種という発酵種を使った菓子パンで、ブリオッシュ生地の中にレーズにゃオレンジピールなどを入れて焼いたもの。
パネットーネ種とは
パネットーネ種を使ったパンがパネットーネですが、パネットーネ種というのは何からできているのでしょうか。Wikipediaによると、
生後すぐ初乳を飲んだ後の子牛の腸内から採集した物質と小麦粉を混合した発酵種 ※Wikipedia
お、、なかなか独特な原料ですね。つまり動物由来の発酵種ということでした。ちょっとびっくり。
パネトーネの特徴と自宅で作る難易度
パン屋さんで買うパネトーネ(パネットーネ panettone)は、ふわふわでしっとり、ドライフルーツがたっぷり入っていて、見ているだけで幸せな気持ちになりますよね。でも、これを自宅で作るとなると、ハードルが高く感じてしまうかもしれません。特に、天然酵母を使うとなると、発酵の管理が難しそうに思えるかもしれませんね。
でも、特に自家製で天然酵母を作れる私たちにとってパネットーネはハードルの高いものではありません。少しのコツさえつかめば、想像するよりもずっと簡単で楽しいものです。一度天然酵母パネトーネの香りを体験すると、その奥深さにすっかり魅了されてしまう人も多いんですよ。
この記事で紹介するレシピは、パン作り初心者さん向けストレートレシピと、初心者さんでも挑戦したい本格レシピ、2つの工程を紹介しています。この章を読めば、天然酵母を使ったパネトーネ作りの全体像を把握でき、安心して次のステップに進むことができるでしょう。
自家製酵母の育て方から、パネトーネ作りのための準備、そして何よりその豊かな香りに包まれる瞬間まで、あなたを新しいパン作りの世界へとお誘いします。
まだ自家製酵母を作っていないあなたはこちらから
👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】
天然酵母でパネトーネを作る前に知っておきたいこと
天然酵母を使ったパン作りは、ドライイーストを使う場合とは少し違った注意点があります。特に重要なのは、発酵のスピードがゆっくりであることと、発酵力の安定性です。
インスタントドライイーストは強力な発酵力を持つため、短時間でパンを膨らませることができますが、天然酵母は酵母の種類や状態、温度や湿度によって発酵の進み具合が大きく変わります。
このゆっくりとした発酵こそが、天然酵母パンの深い風味としっとりした食感を生み出す秘訣なのです。
ドライイーストと同じ感覚で時間を見てしまい、「全然膨らまない!」と焦ったりもするでしょう。逆に、時間がかかるからゆっくりだろうと思っていたら意外と早く発酵していることもあるので、慣れないうちは戸惑うことも多いかと思います。でも慣れると酵母の元種の状態でだいたいの予測が付いたり、とりあえず冷蔵庫で低温発酵させると失敗がグンと減ります。私が冷蔵庫発酵をおすすめする理由のひとつです。
👉天然酵母パンはオーバーナイト発酵で劇的に美味しくなる!
発酵を成功させるためには、生地の温度管理がとても大切です。パン生地を冷やして長時間発酵させるのは酵母の活動が鈍くさせるためでもありますが、冬の寒い場所だと常温でもそれくらいの時間がかかるということです。逆に温かすぎると過発酵になって風味が損なわれることがあります。
発酵に適した温度は25〜30℃程度と言われており、温度計を使ってこまめに確認することをおすすめします。室温が低い場合は、暖房の効いた部屋の暖かい場所に置いたり、ぬるま湯をはったボウルに生地の入ったボウルを浮かべたり、オーブンの発酵機能を利用したりするのも有効な方法です。
天然酵母は生き物なので、毎日少しずつ変化します。その日の気温や湿度に合わせて、生地の状態をよく観察することが成功の鍵です。少し手間がかかるように感じるかもしれませんが、生地の小さな変化に気づけるようになると、パン作りがもっと楽しくなります。
【本格派】天然酵母パネットーネ 中種から作るレシピ
砂糖やバターが多いリッチ生地は酵母の力が弱まりやすいため、中種法を使うのが伝統的な製法。安定して膨らみ、よりしっとりした仕上がりになります。今回は加糖中種法(中種にも砂糖を入れる方法)をご紹介します。
材料
天然酵母の元種(スターター)は強力粉のものがおすすめ。レシピで使用した元種は「強力粉:水=1:1」のもの。
本格派にはしっかり大きいサイズ(底13cm)の型がおすすめ!
材料はこちら👇の底13.4cmの型1つ分です。
中種
- 天然酵母元種 … 100g
- 強力粉 … 80g
- 卵 … 1個
- 牛乳 … 50ml
- 砂糖 … 15g
より本格派を目指す方は、中種に市販のパネトーネ種パウダーを入れるといいです。
パネトーネ種パウダーとは、パネトーネの種を乾燥させて粉末にしたもの。これだけでは発酵力は殆ど無いので酵母は別途必要ですが、より本物の風味を目指す方は生地に混ぜてみるといいでしょう。
👉パネトーネ種パウダーを見る
本捏ね生地
- 強力粉 … 70g
- 砂糖 … 25g
- 塩 … 3g
- 無塩バター … 50g
中の具とトッピング
- 無塩バター … 20g
- ドライフルーツ … 合計80g
例)レーズン … 40g
オレンジピール … 20g
レモンピール … 10g - ラム酒:40㏄(ドライフルーツが全部浸かるくらい)
事前にドライフルーツにラム酒を入れてレンジで約1分加熱→冷ましておきます。
※1~2週間前から常温でゆっくり漬けこんだものがあればなお良しです。
作り方
1、【中種】常温にして活性化した酵母元種、粉、卵、牛乳を混ぜてしっかり混ぜます。

ボールが混ぜやすいですが、ガラス製のタッパーも便利です。

しっかり混ぜるとこんな感じの状態に。少し柔らかいですが弾力があります。
軽く蓋をして(蓋はしっかり閉めず、乗せるだけ)22℃~28℃の常温で3~6時間(または冷蔵庫の野菜室で12時間ほど)発酵させます。

かなり元気な酵母だったので3時間でここまで(3倍近く!)膨れました。※気温25℃
今回は常温で発酵させましたが、冷蔵庫に入れてじっくり発酵させた方が断然美味しいのでおすすめです。
2、【本捏ね】中種が2倍に膨らんだら粉・卵・砂糖・を加えしっかりこね、グルテンを出します。

生地がよく伸びるようになってきたら柔らかくしたバターを加え、なめらかになるまで更に捏ねます。手ごねでも、ホームベーカリーの捏ね機能でも、スタンドミキサーでもいいです。
滑らかになっったら丸めて再度タッパーに入れて一次発酵。この時も蓋は乗せるだけで大丈夫。
※目安は、生地が透けるほど薄く伸ばしても切れない。

3、一次発酵(2〜6時間)。

一次発酵も2時間弱で2倍に膨れました。※気温24℃
生地が2倍のサイズになったら容器から出して丸めてベンチタイム20分。
4、ベンチタイムが終わったら薄く広げてドライフルーツを混ぜ込み、丸めて型に入れます。





実はこの時、パネトーネ型が無かったので、小さいケーキ型にクッキングシートを周りに立てて使っています。
5、常温で二次発酵(40分~1時間半)、1.5倍くらいに膨らんだらOK。

今回は30分でここまで膨れたので慌ててオーブンに予熱(170℃)を入れました。
6、オーブンが温まったら表面に十字にクープを入れ、切り込みに長細く切ったバターを乗せる。

7、170℃で35〜40分焼成。

8、焼き上がったら、できれば逆さまにして冷まします(焼き縮みを防ぐため)。型に入れたままで大丈夫です。

ちょっと無理やりですが専用の器具などがないので太い竹串を刺してこのようにして冷ましました。おうちにあるもので工夫してやってみて下さい。
実際にやってみると特に難しい工程はないのに 「本場イタリア式」「じっくりこだわりたい本格派」という感じになって楽しいです。
【簡単】天然酵母パネトーネ ストレート法レシピ
ここからは、パン作り初心者さんでも挑戦しやすい、シンプルながらも本格的な天然酵母パネトーネのレシピをご紹介します。このレシピでは、レーズン酵母から起こしたスターターを元種として使います。元種の粉は強力粉。
レーズン酵母は、果物から簡単に作ることができ、フルーティーな香りがパネトーネによく合います。
👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】
<材料>
- 強力粉 … 170g
- 天然酵母元種 … 50g
- 砂糖 … 40g
- 卵 … 1個
- 牛乳 … 50ml
- 無塩バター … 50g
- ドライフルーツ … 合計80g
例)レーズン … 40g
オレンジピール … 20g
レモンピール … 10g - ラム酒 … 40㏄(ドライフルーツが全部浸かるくらい)
市販のパネトーネ種を10gほど入れるとより本格的な風味が出ます。
👉パネトーネ種パウダー
プレゼントにも便利なミニサイズ(底11cm)の型がおすすめ!
<下準備>
- バターは室温に戻しておきます。
- ドライフルーツにラム酒を入れてレンジで約1分加熱→冷ましておきます。
※レンジを使用せず予め2週間ほど瓶でラム酒漬けにしておくと、より美味しくなります。
<作り方>
- ボウルに強力粉、天然酵母元種、砂糖、溶き卵、牛乳を入れ、ゴムベラで混ぜ合わせます。
- ある程度まとまってきたら台に出し、手で5分ほどこねます。
- 生地がなめらかになったら、室温に戻したバターを少しずつ加え、生地にバターがなじむまでさらにこねます。透けるほど薄く伸ばしても生地が切れない状態になるとしっかりグルテンができている証拠。
- 生地を広げてドライフルーツを加えて全体に均一になるように混ぜ込みます。
- 生地を丸め、油を薄く塗ったボウルに入れ、濡れ布巾やラップをかけて生地が2倍になるまで一次発酵させます。
※気温と時間の目安:室温25〜30℃で3〜6時間、冷蔵庫で6時間~12時間。 - 一次発酵が終わったら、分割して生地を丸め、パネトーネ型に入れて二次発酵させます。この時、生地の嵩が型の半分くらいで大丈夫です。型の高さくらいまで膨らんだら次の工程へ。
※二次発酵の時間の目安はだいたい40分~1時間。 - 190℃に予熱したオーブンで、生地を入れたら170℃に下げて25分〜35分焼きます。焼き色がつきすぎる場合は、途中でアルミホイルをかぶせます。
- 焼き上がったら、型から取り出し、冷まします。
このレシピで、自宅で簡単にパネトーネを焼くことができます。手作りの温かみと、天然酵母の深い風味をぜひお楽しみください。
失敗しやすいポイントとコツ
- 膨らまない → 酵母が弱っていると発酵不足になって膨らまないので、元気な中種を使うことがまず大事です。
- 生地を捏ねる時のバターの入れるタイミング → 早く入れるとグルテンができにくいので、生地がまとまってから少しずつ加える方がいいです。
- 焼き縮み → 焼き上がったらすぐ逆さに吊るして冷ますときれいに仕上がります。
パネトーネのアレンジアイデア
基本のパネトーネの、具を変えるだけでアレンジのバリエーションが広がります。
- チョコチップパネトーネ:子どもにも人気。
- ナッツ入り:香ばしさと食感が加わり大人向け。
- リキュール香る大人のパネトーネ:ラムやオレンジリキュールで漬け込むと本格的。
パネトーネの保存方法と日持ち
パネトーネ種の入ったパネトーネは乳酸菌と発酵の工程、少ない水分量などのおかげで一般的なパンより日持ちします。一般的には1カ月前後持つと言われています。
とはいえ、自宅で作ったものは衛生管理の問題もあるので1週間以内には食べ切ることをおすすめします。また、少しでもカビのようなものが見えた場合は破棄してください。
- 常温保存:ラップ+保存袋で密閉し、寒い場所で保管
- 冷蔵保存:乾燥しやすいのであまり推奨されない
- 冷凍保存:スライスしてラップ → 保存袋に入れれば約1か月
(食べるときは自然解凍または軽くトースト)
長期保存したい場合は冷凍がベスト。香りも比較的良い状態を保てます。
プレゼントにおすすめ!ラッピングアイデア
せっかくの手作りパネトーネは、ラッピングして贈り物にすると華やかです。
- 透明袋+リボン:中が見えて華やか
- ワックスペーパー+麻ひも:ナチュラルで温かみのある雰囲気
- 紙のギフトボックス:クリスマスや誕生日にぴったり
- 小さめパネトーネを焼く:ミニ型で焼いて個包装すると配りやすい
ちょっとしたカードを添えると、さらに特別感が増しますよ。
FAQ 回答
天然酵母でパネトーネを作るメリットは何ですか?
天然酵母でパネトーネを作る最大のメリットは、風味の豊かさとしっとりした食感です。天然酵母はゆっくりと時間をかけて発酵するため、小麦粉やバター、ドライフルーツの風味が引き出され、複雑で奥深い味わいが生まれます。
また、天然酵母の力で生地がしっかりと水分を保持するため、時間が経ってもパサつきにくく、しっとりとした食感が長持ちします。市販のパンでは味わえない、手作りならではの豊かな香りと食感を楽しむことができます。
天然酵母は市販のドライイーストとどう違いますか?
天然酵母とドライイーストの最も大きな違いは、その発酵力と風味です。ドライイーストは特定の酵母菌を純粋培養したもので、安定した強い発酵力があるため、短時間でパンを膨らませることができます。
一方、天然酵母は、果物や穀物などに付着している複数の微生物(酵母菌や乳酸菌など)の複合体です。そのため、発酵力がゆっくりで、温度や湿度に影響されやすい特徴がありますが、その分、パンに複雑で深い風味を与えることができます。
👉天然酵母とは?ドライイーストとの違いを徹底比較|味・香り・発酵力を解説
天然酵母は手作りできますか?
はい、天然酵母はご家庭で手作りすることができます。最も手軽なのは、レーズンやリンゴ、いちごなどのドライフルーツや果物、あるいは米麹などを使って酵母を培養する方法です。密閉できる瓶に果物と水、少量の砂糖を入れて、暖かい場所に置いておくと、数日から1週間ほどで発酵が始まり、泡がぷくぷく出てきます。これが天然酵母の元種になります。
この元種をさらに小麦粉と水で継ぎ足していくことで、パン作りに使える状態に育てることができます。最初は難しく感じるかもしれませんが、その過程もパン作りの楽しみの一つです。
👉自家製天然酵母の作り方|酵母液から元種起こしまでの基本とコツ【初心者向け】
天然酵母パネトーネレシピ|自家製酵母で作る本格的な味 まとめ
今回は、天然酵母を使った本格的なパネトーネのレシピと、成功させるためのコツをご紹介しました。天然酵母パン作りは、一見難しそうに思えるかもしれませんが、発酵の様子をじっくり観察し、生地の状態を感じ取ることで、きっと素敵なパンを焼き上げることができます。
天然酵母のゆっくりとした発酵がもたらす、奥深い風味としっとりした食感は、ドライイーストを使ったパンとは一味違った感動を与えてくれるはずです。時間と共に変化していく生地の様子を観察したり、焼き上がった時の香りに包まれたり、手作りならではの喜びをぜひ体験してください。
もし「もっと手軽に天然酵母パンを始めたい!」と感じたなら、便利な天然酵母キットや、すでに活性化された天然酵母種が販売されています。これらを活用すれば、酵母を育てる手間を省いて、すぐにパン作りに取り掛かれます。
さあ、あなたもこの機会に、天然酵母パネトーネ作りを始めてみませんか? きっと、パン作りの新しい扉が開きますよ。
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