サワードウまたはサワードウブレッドとは、イーストを使わず「小麦粉と水を自然発酵させた種(スターター)」で作るパンのことです。英語でsourdough、サワー種、フランス語でルヴァンというのもほぼ同じ意味です。
サワードウとは?特徴と魅力
乳酸菌や野生酵母が生み出す 酸味のある風味 と、もっちりした食感が特徴。消化がよく、低GI(血糖値が上がりにくい)という点から健康志向の人にも人気です。
パンデミック時に世界的ブームとなり、今も家庭パン作りの定番になっています。

サワードウのスターターとは?作り方と使い方
サワードウブレッドのレシピを見ると「スターター」というのが出てきます。
これはサワードウパンの発酵の元、イーストとなる種のこと。
サワードウは、自然界に存在する菌で培養する天然の酵母で、原料は小麦粉と水だけ。発酵の過程で、野生の酵母と乳酸菌が合わさります。
天然酵母ではない一般的なパンではインスタントドライイーストまたは生イーストと呼ばれる人工的に安定された酵母菌を使いますが、サワードウブレッドはこのスターターを使います。
というより、サワードウの種を使ったパンをサワードウブレッドと呼ぶので逆ですね。
最も古くから存在する発酵方法の1つと言われるも納得です。昔はインスタントドライイーストなんてありませんが、古代からパン(現代のパンの原点のもの)は食べられていたんですね。
日本で天然酵母と言えば、フルーツで酵母液を作ってから粉を混ぜ合わせる方法が主流でしたが、私はこのサワードウのやり方の方が好きです。
サワードウ スターター(元種)の作り方(初心者向け)
サワードウ作りの最初の一歩は「スターター」という天然酵母の培養から始まります。

材料はなんと小麦粉と水だけ!
私はガラスの保存瓶を使い、強力粉50gと水50mlを混ぜたものを常温で置きました。夏場なら半日ほどで表面に小さな泡がポツポツ現れ、まるで瓶の中で呼吸をしているように感じられます。
1日目はまだ香りが弱いので、半分を取り除いて新しい粉と水を足します。この“継ぎ足し”を数日繰り返すと、酸味のある香りと安定した膨らみが出て、立派な発酵種に育ちます。
ちなみに、私が下記のサワードウを起こした時の環境は室温27℃前後、比較的暖かい季節だったので3日目で焼きに使えるくらいの力強さになりました。
スターターに必要な道具
- 広口のガラス瓶や清潔な容器(スターター用)
ジャムの空き瓶などでもOK。500ml~1Lのものが使いやすいです。
使用前に煮沸消毒しておきましょう。 - 計量スケール
- スプーンやヘラ、お箸など
スターターの材料
- 強力粉:50g x 3回分
- 飲料水:50㏄ x 3回分
強力粉は全粒強力粉ややライ麦粉を使うことも可能です。
または、1回目だけ全粒紛、などアレンジしてもいいので、慣れてくると色々変えてお好みの配合を見付けて下さい。
私のおすすめは、1回目にライ麦粉または全粒粉、2回目以上は強力粉で継ぎ足す方法です。初めての時になかなか発酵しないと不安になるので、早い段階で発酵が始まりやすいライ麦粉や全粒粉を使った方が安心です。
ただし、いずれの場合もできるだけ新鮮な粉を使って下さい。粉が古いと発酵に時間が掛かります。
お水は水道水でもいいですが、必ず食べられる/飲めるレベルのものを使用します。
1回目
- 清潔なガラス瓶に小麦粉50g+水50gを入れて混ぜる。
私はいつもお箸1本を使って混ぜています。これが一番やりやすいからですが、清潔なスプーンなどで混ぜてもいいです。 - 容器に軽く蓋をして常温に置く(気温20度~28度が適温)
※ふたはしっかり閉めず、上に乗せておく程度でいいです。密閉すると酵母が呼吸できず失敗の原因となります。 - 小さな泡がポツポツ現れてきたら発酵が始まっているサイン。環境によりますが、夏場でも数時間変化がないこともあります。

強力粉の場合はもっと白くなります。
どれくらい膨らんだか分かりやすいように、私はいつも、混ぜた時の嵩の位置に輪ゴムを留めて印をしています。付箋を貼っておくのもいいですね。
2回目
- 発酵が進んで酵母が2倍以上に膨らんだら(約6時間~12時間)、中身を半分くらい捨てて、小麦粉50g、水50㏄を追加して混ぜます。この時は気温27度、6時間で2倍以上になりました。
- 24時間経っても変化がなく膨らまない場合は、半分捨てて新しい粉と水を混ぜ合わせます。

3回目
- 2回目と同様のことをします。
途中、時間的に就寝時間や外出時間と重なって確認できない場合は、かけ継ぎ(継ぎ足し)前に一旦冷蔵庫に入れておくと低温で発酵が遅くなります。 - この頃にはほんのり酸味のある匂い、ヨーグルトやワインのようなアルコール臭がします。

気泡がぷくぷくと出きて、少し酸味のある匂いがしていたら完成です。
この頃には、見ている間にも気泡が出来ては弾けるほど活性しています。

瓶をテーブルなどにトントンと打ち付けるか、中をかき混ぜて気泡を抜くと、元の高さくらいまで萎みます。その状態で冷蔵庫で保管できます。
完成したスターターを冷蔵庫で保管するときは、できれば1日1回か数日に1回かき混ぜて、発酵力が弱ってきたら半分ほど捨ててかけ継ぎをしてあげると長期間の保存が可能です。
なかなか膨らまない、ドロドロしている、失敗したかな?と不安な場合はこちらをご確認下さい。
👉天然酵母の元種が失敗する原因と対策|膨らまない・どろどろ・酸っぱい・カビ
捨てるのが勿体ない?捨て種の活用方法
せっかくの酵母種、捨てるだけでは勿体ないですよね。
でもこれは潔く捨てた方が美味しいパンへの近道ではあります。
とはいえ、腐敗臭がしていない限りは粉と水なので、インスタントドライイーストを少量足してパン生地の一部として使ったり、パンケーキに使ったりと活用できます。
👉天然酵母でパンケーキのレシピ。卵なしやストレート法でも作れます
基本のサワードウ生地の作り方と発酵の流れ
では、自家製酵母のスターターを使ってサワードウパンを焼いていきましょう。
基本の配合(例)
- スターター:80g
- 強力粉:220g
- 水:160g
- 塩:5g
手順 動画あり
- スターターを水に溶かす
- 強力粉を加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜたら20分休ませます。(オートリーズと呼びます)
- 塩を入れて捏ねます。60回ほど捏ねたら丸めてボールの中で休ませます。
- 1時間後、端から生地を伸ばしては畳む(ストレッチ&フォールド)を数回繰り返す
- 4を後3回、合計4回繰り返します。徐々に生地の表面がツヤツヤに滑らかになってきます。
- 4回目が終わったら生地が2倍になるまで発酵させます。(3~6時間またはそれ以上)
- 生地が2倍になったらボールから出して、生地の表面を丸めてベンチタイム(30分ほど生地を休ませます)。
- 生地を成形して発酵籠(バヌトン)に入れます。専用の発酵籠がなければ、生地が入る器や、どんぶりなどに布を敷けば使えます。
- 冷蔵庫でオーバーナイト(一晩)または24時間ほど置きます。
- 冷蔵庫から出して常温に戻し、クープ(切れ目)を入れて250度のオーブンで20~30分焼きます
サワードウの焼き方|家庭用オーブンで作るコツ
家庭用オーブンで外側をパリッとさせるには、オーブン庫内に蒸気を入れることですが、蒸気機能が付いていないオーブンの場合は焼く直前に生地表面を霧吹きで濡らします。
サワードウパン作りでよくある失敗と対処法
サワードウパンも最初からうまくいくとは限りません。私も色んな失敗をしてきました。
その度に勿体ないなと思うんですが、失敗の原因と対策を知った上で、失敗した生地もできるだけ捨てずに活用する方法もご紹介します。
生地が膨らまない
生地が膨らまない原因は殆どの場合、スターターの発酵力が弱いか、弱っている可能性があります。生地の材料を合わせて12時間経っても全く変化が無い場合は発酵していないと考えていいでしょう。
その生地は焼いても膨らまないので、薄く伸ばしてピザ生地として活用できます。
ただ、全く発酵していない場合は生地が固くなるので、小さく分割してかなり薄く伸ばすことをおすすめします。
焼き上がったパンの酸味が強すぎる
出来上がったパンが酸っぱい、食べられないほど酸っぱい場合は、発酵過多の可能性が高いです。
またはスターター自体が酸味が強いこともあります。
スターターまたは生地作りの発酵時の、温度を下げてみましょう。
出来上がった酸っぱいパンは、ブレンダーか卸かねで細かくして、パン粉として使用できます。ただし酸味が消えるわけではないので、塩気のあるものや味の濃い料理に使うと酸味が紛れます。
クラストが硬い
焼きあがったパンのクラスト(周りの皮の部分)が硬い場合は、焼成時間を短くしたり、焼く時の温度を少し下げてみましょう。
ただ、もともとクラストの硬さが魅力なパンもあるので、どの程度の硬さなのかは個人的なお好みと考慮して探ってみて下さい。
サワードウパンの食べ方・アレンジレシピ
酸味のあるパンは特にチーズと合います。
- スライスしてサンドイッチに
- チーズやスープと合わせて
- 余ったパンはフレンチトースト、パン粉、クルトンにも活用可能
初めてのサワードウ|スターター作りと基本の焼き方解説 まとめ
サワードウは「時間と愛情で育てるパン」。
スターター作りから焼き上げまでの工程は少し手間ですが、その分だけ奥深い味わいを楽しめます。ぜひ自分だけのサワードウを育ててみてくださいね。
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